認知症の方の食事問題
・暴れて食べてくれない
・口を閉ざして食べてくれない。
意思疎通が図れないからどうしていいか分からなくなります。
認知症による食事拒否の原因は様々ですが、共通して言えることがあります。
- 認知症だからという気持ちを捨てる
- 食べたくない理由を見つける
- どうしても食べない時は、諦める
介護対象者の方が、食べてくれないと悩んでいる方への共感と共に、事例を紹介しながら認知症の方に無理のない食事ケアについて説明します。
高齢者施設で管理栄養士として働くわたしが、認知症の方との接し方についてまとめています。
伝わる伝え方についての実践法も、参考にされてくださいね。

認知症で食事拒否|食べない原因【高齢者施設問題】
認知症の方が食べない原因は、様々です。
なぜ食べないのかな?と、悩んでしまいます。
認知症による食事拒否原因
・食べ物かが分からない
・食べ方を忘れた
・食べない理由を伝えられない
・飲み込む力が弱い
などが主なものです。
どの理由であっても、わたし達がアプローチの仕方を間違えると口を閉じてしまいます。
認知症からくる食事拒否の理由|科学的根拠
食事拒否の主な理由は、上記の原因により「どうしていいか分からない不安」からです。
脳の萎縮や血管の異常など様々な事が原因で、脳機能障害を起こします。
認識できない、発言できないなど自分では何をどうしていいか分からない焦燥感や不安感がそうさせます。
認知症で食事拒否|おすすめの対処法
認知症で食事拒否をした時の対処法は以下の2つです。
対処法2つ
・不安感を取り除く
・食べない理由を決めつけない
まずは、不安感を取り除いてあげる事が大切かなと思います。
そして、食べたくないんだ、わがままを言いたいんだなどと決めつけないようにしたいですね。
その一つの方法として、ユマニチュードメソッドがあります。
ユマニチュードメソッド
【ユマニチュードとは】
コミュニケーションを用いたケアの技術のことです。
「あなたの事を大切に思っています」という思いを、相手が理解できる形で表現し受け取ってもらうための技術です。
不安感を取り除き、なぜ食べないのか理由を見つけるために実践する事。
コミュニケーションの技術は4つ。
- 見る
- 話す
- 触れる
- 立つ
優しく見つめる、沢山話しかける、上から掴むのではなく広い面で触れる、2分でも3分でも立ち上がる支援をする。
伝わるように実践する方法を詳しく説明していきますね。

ユマニチュードの実践
4つを実践形式で詳しく説明します。
見る
≫近くにいき、優しく見つめる
ポイントは、下からや、一旦視野に入ってから真正面にたち優しく見つめる
視野が狭くなっている認知症の方にとって、突然目の前に現れると驚かせてしまいます。
まずは、視野に入り存在を見てもらうようにしましょう。
話しかける
低い声で優しく話しかける
ポイントは、大きな声は相手に威圧感を与えて拒否反応をあたえます。トーンは高すぎず低すぎず。
高い大きな声は、不快感を与えてしまいます。
ゆっくりと、優しく話しかけてみましょう。
触れる
上から掴んだり握ったりせずに、広い面で触れる
ポイントは、上から掴んだり握ると、相手にとって自由を奪われる感覚が伝わります。手の面を広く触れる。
介助に入る時は、なるべく下から大きな面積で触れるようにしましょう。
腕をつかんだり、手首をもつと恐怖心が出るので要注意です。
立つ支援
1日に20分程度立つ時間が寝たきりを予防します。
ポイントは、1度に20分立たなくてもOK。1日合計20分を目安にする。
身体を拭くために、2分立ち上がってもらう。お手洗いに行くのに2分立ち上がり可能ならば歩いてもらう。
出来る機能を少しでも維持し、出来る事を奪わないように心がけましょう。
認知症で食事拒否|食べなかった体験談
体験談は3つです。
体験談①食べ物で遊ぶ
食べずにスプーンで食べ物をさわる
理由:食べ物である認識がない
対処法:一口ずつ口に運ぶ
一口ずつゆっくりと口に運ぶと食べてくれます。
実は認知症の方は、遊ぶというよりも表面の凸凹が気になり平らにする行動だということが分かっています。
食べ物でも同じ現象が起こります。
なので、食べ物であることをしっかり伝えながら、介護をしている方を確認しつつペースに合わせて口に運ぶことが大切です。
体験談②ウロウロする
席に着く前や、食べている途中に歩き始める。
理由:何をするために来たか分からない
対処法:過去の記憶を思い出してもらう
原因としては気が散ったり、直前の記憶など短期記憶といわれるものは忘れがちになる事からです。
遠隔記憶(昔の記憶)や手続き記憶(身体で覚えた記憶)は、認知症が進行しても保持されている記憶とされます。
気が散った場合は、気が散る原因となる物を無くすことで解決する。
短期記憶の喪失に関しては対処法が必要になります。
・手を洗う→食事をする
・いただきます→食事をする
過去にしていた事と同様の事を行動してみる。
上記の事をする事で、習慣を思い出し、そのまま席について食事を始める。
その方の習慣を見つけるのは大変ですが、一つ一つ探してみましょう。
実際にこのような例を実施したことで、改善した入居者さまもいました。
体験談③口をあけない
食事を始めても、「いらない」と、手ではらってジェスチャーをしたり、口を閉じてしまう方。
2つの理由と対処法
理由:食べる事を忘れている
対処法:食べ物であることを伝える
理由:口の中に問題がある
対処法:食べない理由を伝えられない
認知症の方は、意思表示ができない事があります。
それを踏まえて、口を閉ざした理由を優しく観察してみましょう。
一旦、お食事を中止して口腔内を観察したり、食べる姿勢を確認してみてください。
それでも、お口を開けない場合は、お食事を中止するのもケアです。
早めに歯科医師に診ていただくなども選択肢の一つです。
管理栄養士として|認知症で食事拒否についてまとめ
認知症により食事を食べない方の理由は、様々です。
どんな理由であっても、共通して言える事。
- 不安を取り除く
- 理由を決めつけない
しかし、実際に認知症の方を目の前にしたときに簡単ではありません。

理由が分からず途方にくれることもあります。
その時にぜひユマニチュードを実践してみる事を提案します。
・優しく見つめる
・沢山話しかける
・愛を伝える様にふれる
・共に立つ支援
コミュニケーションは、一方的なものではなく双方の言葉を超えた意思伝達が大切です。
たとえ、言葉を発する事が出来なくても眼差しと表情で伝え合う事はできます。
高齢者の介護で、アロマを使ったマッサージや香りで癒すことの重要性が認めらています。
わたしの職場でも、アロマやフットマッサージを取り入れています。
アロマオイルの効果や取り扱いについて基礎から学ぶ講座もおススメです。
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