高齢者が不慮の事故で毎年30000人近くの方が亡くなっています。
高齢者不慮の事故
1位「転倒・転落」
2位「誤嚥等の不慮の窒息」
3位「不慮の溺死・溺水」
今回のテーマである誤嚥(ごえん)で亡くなる方は、交通事故や自然災害よりも多くなっています。
・誤嚥(ごえん)とは
飲食物や唾液が食道にいかず
→気管の方へはいる
気管から肺へ流れてしまった時に、誤嚥性肺炎という肺炎にかかる可能性も!
唾液や胃液を誤嚥したり、食後や就寝中にも注意が必要が必要です。
今回の記事は、誤嚥を引き起こす理由と予防するための対処法について、高齢者施設で栄養士として働く私が解説していきます
高齢者の誤嚥性(ごえんせい)肺炎は、原因と対処法を知り早めの受診で軽症ですみます。
ぜひ、ご参考くださいね。
高齢者が誤嚥する理由
高齢者が誤嚥する理由は、いくつかあります。
誤嚥する理由
・飲み込む力が弱まる
・就寝中に唾液を誤嚥する
・就寝中に胃液が逆流する
・脳や癌などの病気が原因
以上のような理由で誤嚥し、誤嚥性肺炎を引き起こします。
誤嚥性肺炎には、チェックポイントがありますので、確認していきますね。
高齢者の誤嚥性肺炎を見極めるポイント
誤嚥性肺炎かどうかを疑うポイントは4つあります。
こんな時は要注意!!
・発熱を繰り返す
・痰の量が増える
・ゴロゴロと喉がなる
・呼吸が苦しそう
誤嚥性肺炎は、むせ込む症状がなくても引き起こしているかもしれません。
食欲が無かったり、ぐったりしている時は早めに受診されることをおすすめします。
上記のような症状ではなく、不眠になったり認知症のような症状がでる場合もあります。
この様な時に、不眠症のお薬などをのむと誤嚥性肺炎の治療を遅らせる原因になります。
いつもと様子が違うなと思う時は早めの受診を。
高齢者の誤嚥性肺炎の対処法
高齢者の誤嚥性肺炎に対する主な対処法は4つです。
対処法
①飲み込みやすい食事にする
②食後すぐに横にならない
③食事中の姿勢を整える
④お口の中を清潔にする
以上の事が誤嚥性肺炎を予防する主な対処法です。
食べものが気管へ入り炎症を起こすこともありますが、すぐに肺炎になるわけではありません。
お口の中の雑菌が肺へ入る事で、肺の炎症を引き起こします。
お口の中の清潔を保つためにも、正しい姿勢でしっかりお食事をする方法が大切!
それぞれを詳しく説明します。
対処法①飲み込みやすい食事
理由
:飲み込む力が弱っている
対処法
:飲み込みやすい食事の工夫
食べ物が気管の方へと流れてしまうのを防ぐためにも、飲み込みやすい食事にする必要があります。
代表例を3つご紹介しますね。
- 噛み切れる工夫
→筋があるお肉はしっかり筋きりする - 食べ物はまとまりやすく
→ひき肉はハンバーグなどで丸める - 生野菜
→ボイルや塩もみでしんなりさせる
上記の他にも対策はたくさんあります。高齢者の立場になることが、なにより大切なことですね。
詳しくは、高齢者が食べやすい食事についての記事をご参考ください。
対処法②食後のサポート
理由
:食べたものや胃液が逆流する
対処法
:食後はすぐに横にならない
高齢者になると食後に横になることが多いですが、体勢が悪いと逆流した食べ物や胃液を誤嚥してしまいます。
以下の点に気を付けて対策をしてあげましょう。
- 食後2時間は、体を起こす
- 横にさせないことで逆流を防ぐ
2時間体を起こし続けることが難しそうな場合は、クッションを使うなどして体に負担をかけない心遣いをしましょう。
対処法③食事中の姿勢
理由
:姿勢が悪いと飲み込みやすい
対処法
:身体をまっすぐにする
背中が丸まり顎が下がってしまうことが、誤嚥の可能性を作り出してしまいます。
以下の点に気を付けて対策をしてあげましょう。
- 着席時は骨盤を安定させる
→足裏を床につけることで姿勢がキープ - 食事介助時は立ってやらない
→目線の高さを合わせることでのどの負担軽減
食事中は、顎があがることを避けなくてはなりません。
姿勢をキープさせることが、負担の少ない顎の位置をキープし、誤嚥を防いでくれます。
対処法④お口の中を清潔に
理由
:口の中の雑菌が肺に入ると肺炎をおこす
対処法
:口の中を清潔にする
唾液や食べ物と一緒に口の中の雑菌も肺に入る事で、誤嚥性肺炎を引き起こします。
以下の点に気を付けて対策をしてあげましょう。
- 唾液の分泌量を増やす
- しっかり噛んで食事をさせる
口腔ケアは、誤嚥性肺炎の中でも最も重要です。
次項で詳しく解説しますので、ご参考ください。
高齢者の誤嚥性肺炎で最も大切な口腔ケアの対処法
誤嚥性肺炎で口腔ケアが最も重要とされるポイントは以下の2つです。
口腔ケアのポイント
①寝ている間の誤嚥リスク
②唾液の分泌量を増やそう
年を重ねるにつれ、身体機能は低下していきます。
食事中に噛むことが億劫になり、食べ残しなどが原因で、寝てる時に誤嚥することも多くなってしまう…。
また、義歯の洗浄や歯磨きも段々しなくなることもあり、お口の中が不衛生になることもしばしば。
それぞれ詳しく理由と対処法をお伝えしていきます。
理由:寝ている間の誤嚥リスク
誤嚥性肺炎は夜寝ている間の誤嚥による事が多いと言われており、理由は2つあります。
・脳血管疾患
・老化現象
また、唾液などが気管に入り肺へ流れ込み炎症を起こし場合、ムセる事がない不顕性肺炎(ふけんせいはいえん)となります。
不顕性肺炎(ふけんせいえん)の場合
お口の中の雑菌が多くなるにつれてリスクが高くなります。
炎症を起こす原因菌は、一定数以上になると肺炎をひきおこします。
お口の中の雑菌が多ければ多いほど誤嚥性肺炎のリスクは高まると言えます。
ムセない誤嚥性肺炎を、不顕性肺炎(ふけんせいはいえん)といい、お口の中の雑菌が多いと更にリスクが高まります
誤嚥性肺炎にならないためにも、しっかりした対策「口腔ケア」が大切になってきます。
対処法:口の中の雑菌を減らす
①食後の歯磨きを徹底
②唾液の分泌をふやす
食べ残しや口腔内の雑菌を減らすことが誤嚥性肺炎の予防になります。
また、唾液も殺菌効果もあるといわれています。
唾液の分泌を増やす
①しっかり噛んで食事をする
②唾液を増やすマッサージ
唾液は食べ物を噛むほど分泌されます。
お粥を食べている人とご飯を食べている人を比べた報告では、ご飯を食べている人の方が菌が少ないということ。
正しい姿勢でしっかり噛み、飲み込みやすい状態でお食事をする事が、唾液の量を増やすことにつながります。
また、唾液を増やすマッサージも効果的!
耳と首の付けのくぼみをマッサージすると唾液の量を増やしてくれますよ!
\唾液を自分で増やすには/
高齢者の誤嚥性肺炎についてまとめ
疾患が原因で誤嚥する場合は、医療機関で治療する事が大前提です。
しかし、上に記した対処法を基に対処する事で予防できます。
・飲み込む力をよくする
対策:
口をはっきりあけて「あいうえお」と繰り返すなどお口の体操も効果的
・唾液の分泌を増やす
対策:
耳と首の境目のくぼみを軽く押す
・口の中の雑菌をへらす
対策:
食後は必ずお口の中の掃除を
しっかり対策をして、より良い人生を歩むサポートを心がけていきましょう。
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